• アテナ神/鹿を襲うライオン
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 紀元前3世紀、イタリア半島南部のルカニア地方で発行されたスターテル銀貨。このコインが造られたルカニア地方の古代都市エレアは、かつてギリシャ人入植者によって建設された植民都市であり、現在のイタリア南部の都市ヴェリアにあたります。ギリシャ系住民が多かった南イタリアは豊穣な土地に恵まれ、豊かな社会・文化が育まれました。
この地で造られたコインも、ギリシャ本土とは異なる趣の美しさに彩られ、都市毎に個性がみられます。紀元前3世紀半ばまでに、これらの都市はローマの支配下に入ったことから、個性溢れるコインの生産も終焉を迎えます。

 このコインでは、表面に知恵と戦術の女神 アテナの横顔像が打ち出されています。勇ましさよりも優しさ、美しさが際立つ表情です。頭部に被る兜の側面には、幻獣グリフィンの姿が刻まれています。右下には陰刻によって「IE」銘が打たれているのが確認できます。

 裏面には牡鹿に襲いかかるライオンが表現されています。逃れようとする牡鹿、背中から噛み付き全身の筋肉を使ってしがみ付こうとするライオンの、緊迫した場面が見事に描写されています。同様のモティーフは小アジアのキリキアで発行されたスターテル銀貨にもみられることから、地理的に遠く離れた両地域の関係性が窺えます。

 このコインはその芸術性が高く評価され、近年では高値で取引されています。また保存状態、打ち出しの状態は良好であり、全体にかかった濃いトーン(経年変化色)から大切に扱われてきたことが分かります。非常に恵まれた保存状態の貴重な一枚。古代地中海、ギリシャ文明が産み出した歴史的な芸術品です。


 

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