紀元前4世紀のバビロンで発行されたスターテル金貨。この金貨は古代マケドニア王国の支配下、フィリポス3世の時代に造られました。

　アレキサンダー大王(アレクサンドロス3世 在位：BC336年～BC323年)が崩御した直後の時期に造られたこの金貨は、大王が征服したメソポタミアの古代都市バビロン(現在のイラク南部)で造られました。アレキサンダー大王はメソポタミアの征服後、バビロンを自ら築いた大帝国の都と定め、大王亡き後は将軍たちによって後継者会議が開かれました。

　金貨の表面には知恵と戦略の女神アテナの横顔肖像が打ち出されています。飾羽のついたコリント式兜を被り、戦士としての勇ましい姿で表現されています。兜側面に浮き彫りにされた蛇のデザイン、アテナ女神の首飾りと、束ねていない長髪が細かく表現されています。
　裏面には勝利の女神 ニケの立像が表現されています。有翼のニケ女神は右手で月桂冠を掲げ、左手には王権を示す帯(ダイアデモ)を握っています。右側には発行者フィリッポス王の名を示す「ΦΙΛΙΠΠΟΥ」の銘、左側には「ΒΑΣΙΛΕΩΣ」の銘が刻まれています。併せて「王たるフィリッポス」を表します。