紀元前1世紀、共和政時代の古代ローマで発行されたデナリウス銀貨。
表面には光明神アポロの横顔像、裏面には山羊に跨る幼いゲニウス(=ローマ人の守護神)が表現されています。山羊の上部には双子神ディオスクロイを象徴する二つの帽子、下部には酒神バッカスを象徴する杖(テュルソス)が配されています。
共和政時代のデナリウス銀貨は帝政時代と比べて重く、銀品位も良かったため、多くは資産価値が認められ貯蔵されていました。ローマが対外的な領土拡張策を推進していた時代、戦地へ赴く兵士が出征前に資産を隠す場合があったと考えられています。しかし埋蔵した本人が帰還せず戦地で没し、他者にも資産の存在が知られなかったため、そのまま退蔵されたコインが後世にまとまって出土するケースもあります。