サビーナはトラヤヌス帝の姪の娘であり、当時の皇妃プロティナのとりなしによってハドリアヌスと結婚。その夫婦仲は円満といえず、親衛隊長官セプティキウス・クラルスや歴史家として知られた秘書官スエトニウスは、サビーナと近い関係にあった故に地位を失ったとされる。夫婦の間に子はなく、サビーナが正式に皇妃(アウグスタ)の称号を得たのはハドリアヌスの皇帝即位から10年後だった。ハドリアヌス帝が愛人アンティノウスを寵愛したこともあり、皇帝と皇妃は不仲だったとみられているが、エジプトなどへの巡幸旅行には同行させ、AD136年にサビーナが亡くなった際には神格化して敬意を表した。
裏面には
ジュノー(ユーノー)女神の立像が表現されている。女神達の女王とされるジュノーは大神ジュピター(ユーピテル)の正妻であると共に、女性や子ども、6月の守護女神として崇拝された。6月の英名「June」や、「ジューンブライド(六月の花嫁)」の由来となっている。またローマ国家に良き助言を与え、戦士に活力を与えるともされていた。
天上のジュノー女神 豪華な御車に乗り、二羽の孔雀に引かせた姿。先導役を務めるのは月の女神ルナ。