【National Numismatic Certification スラヴケース入り―グレード:AU55】 1世紀、フラウィウス朝時代の古代ローマ帝国で発行されたアス銅貨。ローマ市の円形闘技場コロッセオが完成した時期に、同じくローマ市内の造幣所で造られたこのアス銅貨は、当時の一般ローマ市民の間で広く使用されていた単位のコインでした。当時を生きた古代ローマ人の手から手へと渡り、人々の生活の間で活躍した歴史あるコインです。
表面には当時の皇帝
ドミティアヌス(在位:AD81年~AD96年)の横顔肖像が打ち出されています。ドミティアヌス帝は名君と誉れ高い父や兄と異なり、暴虐な暗君として知られています。自らを神と称してキリスト教徒を迫害し、専制的な政治を行い反対者を数多く粛清したと伝えられています。
裏面には
フォルトゥーナ女神立像が表現されています。フォルトゥーナは幸運と好機をもたらす運命の女神とされ、ローマ市内にもフォルトゥーナ女神を祀る神殿が建立されました。この立像ではコルヌ・コピア(豊穣の角)を抱きながら、細長い舵を支えています。これはフォルトゥーナが幸運・好機・富をもたらすと共に、「運命」こそが人生の舵を握っていることを示しています。
フォルトゥーナ女神像 ヴァティカーノ美術館所蔵。ローマの外港オスティアで祀られていたもの。