• ルキウス・ウェルス帝/皇帝とローマ神
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 ルキウス・ウェルス帝(在位:AD161年~AD169年)はマルクス・アウレリウス帝の共治帝で義弟。パルティア戦争やパンノニア遠征などの戦役にあたっては、首都ローマに留まった義兄に代わって軍を率いた。コイン裏面に表現されたルキウス・ウェルス帝は、軍装姿でローマ女神と対峙している。この意匠はルキウス・ウェルス帝の軍事的功績を宣伝する意図が込められている。
 ローマ帝国史上初の共同統治はルキウス・ウェルスが義兄帝の指示を受けるという形で機能したが、生真面目な哲学者肌のマルクス・アウレリウスと、享楽を好んだ派手好きのルキウス・ウェルスは性格的に合わなかったという。


 当時のアス銅貨はローマにおける最も基礎的な貨幣であり、市民の日常生活で頻繁に用いられたコインであった。
現在の1ユーロや1ドル、1ポンドのような価値だったとされ、生活用品や食料、街中での飲食の支払いをはじめ、浴場や闘技場の入場料、娼館での支払いまで幅広く使用された。発行枚数は多かったと想像されるが、人々の手に渡りやすく市中での流通と磨耗が激しかったこと、素材である銅の劣化、また一枚あたりの購買力価値の低さ(※1デナリウス=16アス)から貯蔵には向かず、後世まで良好な状態で現存するものは希少である。


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                  ローマ時代のデリカトゥス(想像図)

 デリカトゥスは食料や日用品を販売する小規模商店。軽食も提供し、ローマ市民に多く利用された。こうした店舗での支払いにはアス銅貨が主に使用されていた。


 

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