第二帝政時代のフランスで発行された100フラン金貨。目立つ傷や磨耗は見られず、ほぼ未使用の状態です。
表面に打ち出されたナポレオン3世は端整な紳士風の顔立ちで、髪の毛の流れも細かく表現されています。また裏面の帝室紋章も細部までしっかりと残されており、中央の鷲の羽根まで確認できます。
皇帝ナポレオン3世 (1857年頃) 19世紀半ば、第二帝政期のフランスはナポレオン3世(在位:1852年~1870年)の産業振興政策により、国内は好景気に沸いていました。パリ大改造や華やかな宮廷文化の復活、鉄道の新敷設など、旺盛な消費需要によって投資ブームも起きたほどでした。都市では新興ブルジョワの文化が華開き、華美で贅沢な様式が好まれました。
そのような経済状況に合せて、フランスの歴史上かつてない大型金貨「100フラン金貨」が初めて発行されました。32.25gの重量感は迫力の金貨です。100フランは現在の日本の貨幣価値に換算すると、おおよそ10万円ほどの価値だったとされています。発行枚数も他のコインと比較しても少なく、同時期のヨーロッパ諸国の中でも特に大きい金貨の一つでした。当時は手形や小切手、紙幣が既に登場しており、こうした高額面金貨は銀行家や貴族、ブルジョワなど限られた人しか目にすることはありませんでした。華やかな第二帝政時代のフランスを代表する金貨です。