プトレマイオス朝時代の古代エジプトで発行されたヘミドラクマ(=トリオボル)銅貨。このコインはプトレマイオス3世の治世下に発行されました。

　表面にはギリシャ神話の大神であるゼウスの肖像が表現されています。ゼウス神はプトレマイオス朝時代のエジプトにおいて、エジプト神話の大神アモンと同一視されました。その頭部側面には、アモン神の象徴である巻角が加えられています。
　裏面にはゼウス神の聖鳥である大鷲が表現されています。両足でゼウス神の武器である雷霆（ケラウノス）を掴み、この大鷲がゼウスの象徴であることを示しています。またこの大鷲はエジプトにおけるプトレマイオス朝の神権と王権を象徴するものでもありました。

　コインの中心部分にある小さな孔は、王都アレキサンドリアの造幣所で銅貨を鋳造する際に、金属をコインの型に流し込んだ跡であると考えられています。