共和政時代の古代ローマで造られたディドラクマ銀貨。「ディ」は数字の「2」を表し、この銀貨がドラクマ銀貨2枚分の価値に相当したことを示しています。
表面には、双顔の神 ヤヌスが表現されています。ヤヌス神はローマにおける古い神であり、ギリシャ伝来の神々とは異なる由来を持ちます。
古代ローマ人はヤヌス神を「始まりから終わりまでを司る神」として祀り、年末年始には供え物を行ったとされています。王政時代、一年の最初の月を「ヤヌスの月」と定めたことにより、暦上「ヤヌス月」=「January(一月)」が定着し、現代までその名が引き継がれています。
また、「出入口」を守護する神として、家や公共施設などの建物の門の上にヤヌス神のレリーフを飾ったとされます。
ローマでは市内にヤヌス神を祀る「ヤヌス神殿」を建立し、ローマが戦時体制にあるときは開いておいたとされています。逆に、ヤヌス神殿の扉が閉じられている時は、ローマに平穏が訪れていることを表しました。ヤヌス神は、古代ローマ人にとって非常に特別な神だったのです。
裏面には、クァドリガ(四頭立て馬戦車)で駆ける最高神 ジュピター(ユーピテル)の姿が表現されています。その隣には、勝利の女神 ヴィクトリーが、馬の手綱を取っています。
ジュピター神は左手に王笏、右手に稲妻を振りかざしており、躍動感あふれる様子で刻まれています。
その下部には、レリーフのように刻まれた、発行都市「ROMA」の銘が添えられています。
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