小アジア南部、パンフィリア地方の都市アスペンドスで発行されたスターテル銀貨。古代オリンピックの競技を思わせるデザインのコイン。レスリングは青少年の心身を鍛える競技として、古代ギリシャの各都市で盛んに行われていました。多くの都市の代表が参加する大会で優勝すれば、英雄として賛美され、歴史にその名を残すことができるほどの栄誉が与えられました。
レスリング競技のレリーフ (アテネ国立考古学博物館収蔵) 発行地のパンフィリアは狭い領域でありながら周囲を山に囲まれ、他地域と隔絶した地形でした。そのためギリシャ文化圏でありながら独自の方言である「パンフィリア語」を話し、それに対応するギリシャ文字の一種「パンフィリア文字」が使用されていました。コインには現地で使用されていたパンフィリア文字が刻まれています。