• アテナ神/フクロウ
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 紀元前5世紀後半、アッティカ地方の古代都市国家 アテネで発行されたテトラドラクマ銀貨。4ドラクマに相当したこの銀貨は、アテネの繁栄を象徴するコインとして広く知られています。

 表面には、アテネの守護女神 アテナの横顔像が打ち出されています。目はアーモンド形であり、慎ましやかに微笑む女神像は古典期の様式がそのまま反映されています。

 裏面にはアテナ神の聖鳥 フクロウが表現されています。左側にはオリーヴと三日月、右側にはアテネを示す「ΑΘΕ」銘が刻まれています。コインに刻まれたフクロウは正式には「コキンメフクロウ(英名:Little Owl)」であり、ラテン語の学名では「Athene noctua」と呼ばれます。


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                 アテネ市民を前に演説するペリクレス


 紀元前431年に勃発したペロポネソス戦争は、アテネの覇権に対する他の諸ポリス(都市国家)の反抗からはじまり、ギリシャの大半を巻き込んで約30年も続きました。当時のアテネを率いていた政治家ペリクレスは、アテネ市民を前に徹底抗戦を訴え、篭城戦を敢行します。しかし、スパルタ率いるペロポネソス同盟軍はアテネとの戦いを優位に進め、ペリクレス亡き後の紀元前404年にアテネを占領。エーゲ海を制覇したアテネの栄華は終焉を迎えました。

 ペロポネソス戦争の勃発は戦費支出を増大させ、フクロウコインも大量に生産され傭兵への給与支払いなどに充てられました。このコインも、そうした激動の時代に造り出された一枚です。2400年前の古代ギリシャ史を彩る、歴史的な遺産といえるコインです。


 

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