商品説明
フラウィウス朝最後の皇帝、ドミティアヌス帝(在位:AD81年~AD96年)時代に発行されたデナリウス銀貨。発行されたAD88年は、タパエの戦いでローマ軍がダキア人勢力を打ち破った年である。
裏面には、ドミティアヌス帝が信奉していたとみられるミネルヴァ女神の立像が表現されている。知恵と戦術を司るミネルヴァはギリシャ神話のアテネと同一視されている。このコインでは船の上に乗ったミネルヴァ女神が、盾と長槍を構える勇ましい姿で表現されている。足元にはミネルヴァの聖鳥であるフクロウが確認できる。
この銀貨が発行された年の前後より、ドミティアヌス帝の疑心暗鬼がいよいよ強まり、元老院議員をはじめ多くの人々が粛清され始めた。以降、ドミティアヌス帝はその残虐非道さを顕わにし、ネロ帝を凌ぐほどの暴君と評されるまでになった。富裕層から知識人、ユダヤ教徒、キリスト教徒に至るまで、幅広い階層の人々が迫害の対象となった。
後にドミティアヌス帝は周囲の近臣や家族からも恐れられ、AD96年に親衛隊によって惨殺された。