商品説明
テュケは「運命」を司る幸運と機会の女神であり、ローマでは「フォルトゥナ」名で崇敬を集めました。
テュケ女神は城塞風の特徴ある冠を戴いています。これは、テュケ女神がコインを発行した都市の守護女神であることを示しており、またその役割を期待したものであると考えられています。
城壁の冠を戴いたテュケ女神は、フェニキア諸都市で発行されたコインの表面に多くみられ、フェニキア地域一帯ではテュケ女神を特に崇拝していたことが分かります。
コインの裏面には、勝利の女神ニケが表現されています。背翼を広げたニケ女神は月桂樹のリースに囲まれています。このように裏面のデザインを月桂樹のリースで囲むスタイルは、紀元前2世紀~紀元前1世紀頃のヘレニズム期、小アジア~フェニキアの諸都市で発行されたコインに多く見られます。この様式はローマに征服される以前、各地の都市で広く流行していたとみられています。