ティトゥス・フラウィウス・ウェスパシアヌス(Titus Flavius Vespasianus 、39年12月30日 - 81年9月13日 皇帝在位:79年 - 81年)はフラウィウス朝第2代の皇帝。ウェスパシアヌス帝の長男であり、弟はドミティアヌス帝。
ティトゥスは父帝ウェスパシアヌスをよく補佐し、特に軍事面で優れた指導力を発揮したと伝えられます。皇帝即位後も人徳を重視した政治を行い、治世中に発生したヴェスヴィオ火山の噴火直後には迅速な復興を指揮しました。
その治世はわずか2年と短命でしたが、その間の統治は後世からも讃えられることになります。18世紀にポンペイの遺跡を見学したモーツァルトは、古代ローマとティトゥスの時代に関心を寄せ、彼の伝記に基づいたオペラ『皇帝ティートの慈悲』を作曲しました。
『ポンペイ最後の日』(フレデリック=アンリ・ショパン, 1834年)
コインの裏面には象が表現されています。当時、象はアフリカ属州を通してローマにも輸入され、力強さの象徴として軍人を中心に好まれた意匠でした。このコインはヴェスヴィオ山噴火後の80年1月-6月頃に、ローマ市内の造幣所で製造されたとみられています。