19世紀～20世紀初頭のイギリスではコインの図柄をエナメルによって彩色し、ペンダントやブローチにする工芸品が流行しました。こうしたコインジュエリーは「ヴィクトリアン」と通称され、熟練の職人による繊細な作業によって、多種多様な作品が生み出されていました。現在では再現困難な、アンティークコインジュエリーです。

　このコインブローチは100年以上前の職人によって製作され、当時の上流階級に属した貴婦人の胸元を飾っていたものとみられます。両面は回転できるようになっており、どちらも表として活用できるようになった、当時の職人の技術力が光る逸品です。

　使用しているコインはウィリアム4世の時代に発行された1/2クラウン銀貨です。連合王国の豪華なマント紋章が、紺碧、白、赤、深緑などの豊かな色合いによってより豪華な仕上げになっています。
　もう一面には国王ウィリアム4世の横顔肖像が表現されています。エナメル彩色は施されていませんが、アンティークシルバーの経年光沢と美しい彫刻が際立っています。

　豪奢かつ上品であり、存在感のあるオススメのアンティークブローチです。19世紀の英国上流階級の流行を今に伝える、貴重なコインジュエリー。