ネメアのライオンとヘラクレスの闘い (ルーベンス作) ギリシャ神話の一つ「ヘラクレスの十二功業」に登場するこの場面は、ヘラクレスの超人的な強さを物語る伝説として古代ギリシャ・ローマでは広く知られていました。
ヘラクレスはミュケナイの王から様々な難題を命じられ、それをこなす為にギリシャ各地へ赴きます。その難題の一つが「ネメアの谷に住む凶暴な獅子の退治」でした。
ペロポネソス半島北東部ネメアの谷には凶暴な人食いライオンがおり、人々から恐れられていました。ヘラクレスは弓で射殺そうとしますが、その毛皮は刃物を通さない鋼のような硬さでした。そこでヘラクレスは武器を捨て、素手でライオンを取り押さえて絞め殺すことにします。洞窟に追い詰めたヘラクレスはライオンと取っ組み合い、その豪腕でついに凶暴な獅子を倒すことが出来たのです。
ヘラクレスはこのライオンの毛皮で頭巾を作り、戦いの際には常に被るようになりました。ヘラクレス像がライオンの毛皮を頭に被っているのはその為です。
尚、この時殺されたライオンは天空のゼウス神によって迎えられ、十二星座のひとつ「獅子座」にされたと云われています。