アンリ3世(在位:1574年~1589年)はヴァロワ朝期のフランス王であり、カトリック派として新教徒(カルヴァン派、ユグノー)を弾圧した。国内の宗教戦争(ユグノー戦争)が混迷を深める中暗殺され、ヴァロワ朝は断絶。後継者に指名していたナヴァル王がアンリ4世として即位し、ブルボン朝が創始された。
コインの表面には、アンリ3世の肖像と共に「HENRICVS. III. D: G. FRAN. ET. POLO. REX (=アンリ3世 神の恩寵たるフランスとポーランドの王)」銘が配されている。裏面の紋章の左右に配された、王冠を戴く「H」銘はアンリ3世(HENRICVS III)の頭文字である。
このコインが造られた450年前のヨーロッパでは、既に機械による製造も行われていたが、昔ながらの手作業による打刻コイン(=ハンマーコイン)も造られた。このテストン銀貨も打刻によって製造されたとみられ、上のイメージ写真のように一枚一枚手作業によって製造された。