• アルメニア王国 テトラドラクマ銀貨 ティグラネス大王/テュケ女神&アルタハタ河神
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  • 価格:165,000円(税込)

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 カフカース(コーカサス)地方南部に存在したアルメニア王国のティグラネス2世(在位:BC95-BC55)は周辺の小王国を支配下に置き、内紛によって混乱するパルティアに勢力を伸ばしてメディア地方を征服。さらに小アジアのキリキア地方やカッパドキア地方も従属させ、セレウコス朝シリアの大半を併合しました。諸民族を従えたティグラネス2世は「大王」「諸王の王」を称し、カスピ海から黒海、地中海に跨る大王国を実現しました。

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                   諸王を従えるティグラネス2世
                    (19世紀 フランスの挿絵)


 このコインは、ティグラネス2世がティグリス川沿いに新たに建設した首都ティグラノセルタ(*現在のトルコ南東部, ディヤルバクル近郊)で造られました。ティグラノセルタは強固な城壁に囲まれた都市として建設され、中にはギリシャ風の劇場や大神殿、市場があり、周辺部には狩場や庭園が整備されました。都市の住民は征服した各地から集められ、アルメニア人のほかギリシャ人、ペルシャ人、アラブ人、ユダヤ人が居住しました。

 表面にはティグラネス2世の横顔像が打ち出されています。セレウコス朝シリアのコインを模したスタイルですが、耳あてがある王冠を戴く姿はアルメニア文化の独自性が現れています。王冠には太陽と大鷲の紋様が施されています。これはアルメニアで信奉されていたゾロアスター教を象徴し、古代アルメニア王国の紋章でもありました。

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                   古代アルメニア王国の紋章


 裏面には幸運の女神テュケと泳ぐ河神が表現され、左右には「BAΣIΛEΩΣ TIΓPANOY (=王たるティグラネス)」銘が配されています。この意匠はシリアのアンティオキアでも採用され、後世に同市で発行されたコインにも同じ意匠が再び表現されています。


 ティグラネス2世はアルメニアの最盛期を築いた英雄とされ、現代も民族の偉人としてアルメニア共和国では神格化されています。その肖像はほとんど残されておらず、当時発行されたコインが現存する数少ない史料となっています。


 

価格:165,000円(税込)