- ローマ帝国 エジプト属州 テトラドラクマ カリヌス帝/ニケ女神
商品説明
カリヌス帝(在位:AD283-AD285)は父のカルス帝と弟のヌメリアヌスがペルシア遠征に赴くのに際し、首都ローマの統治を一任された。カリヌス帝はライン川やドナウ川など国境での防衛作戦を指揮し、さらにブリタニア遠征でも成果をあげた。しかし父と弟が遠征中に相次いで没すると、その跡を継いだディオクレティアヌスの軍によって攻められ、285年にマルグス川での戦いに敗れその治世を終えた。戦い自体はカリヌス側が優勢だったが、部下の裏切りによって討たれたと云われている。
在世中の言行はディオクレティアヌス帝によって誇張され、放蕩で残忍、見境のない好色漢として伝えられた。毎日のように大宴会を催して浪費を繰り返し、職権を乱用して低俗な友人たちを高位高官に就けた。男女の区別ない性生活は堕落し、元老院議員や騎士階級の婦子女も犯した。伝承では最後の戦いでカリヌス帝を裏切ったのは、かつて自らの妻を奪われた護民官だったとされている。
こうした悪評はディオクレティアヌスによる帝位簒奪を正当化するための誇張宣伝とみられるが、結果的にカリヌス帝の治世は忌まわしいものとされ、碑文や公的記録が破壊される記録抹消によって断罪された。