19世紀半ばにインドで発行された1ルピー銀貨には、即位して間もない頃の
ヴィクトリア女王が表現されています。
ヴィクトリア女王の64年に及ぶ治世中、イギリスはアジアやアフリカの各地に進出し植民地を形成しました。特に、早くからヨーロッパ諸国が進出していたインドを事実上独占したことで、イギリスの繁栄は約束されたといえます。
ヴィクトリア女王 (在位:1837-1901) この銀貨はイギリスのアジア進出に貢献した
東インド会社によって発行されています。東インド会社は事実上の国策会社であり、中国やインドの貿易を独占的に行っていました。やがて貿易事業だけでなく、現地での活動に大きな権限を得、行政権や軍事指揮権、通貨発行権を有するなど独立国のような地位を確立していきました。
この1ルピー銀貨が発行された当時、東インド会社によるアジア貿易の独占は既に廃止されていましたが、インドの統治は引き続き東インド会社が行なっていました。会社の名において多数のコインが発行され、現地の経済で流通していました。