- ポルトガル 1898 1000レイス銀貨 カルロス1世&アメリア王妃
商品説明
【インド航路発見400周年記念】
大航海時代、ポルトガルを代表する航海士ヴァスコ・ダ・ガマ(1460-1524)による歴史的偉業を顕彰した記念銀貨。
1497年、リスボンを出港したヴァスコ・ダ・ガマの船団は大西洋を経てアフリカ大陸沿岸を航行し、翌年の1498年にインド西岸の都市、カリカットへ到達しました。それまでヨーロッパとアジアを結ぶ交易路はオスマン=トルコ帝国に阻まれ、直接交易が困難でした。イスラーム商人を介さないアジアとの直接的交易ルートの確保は、当時の欧州各国にとって重要な関心事でした。そのため海路によるヨーロッパ―インド航路の発見は大航海時代を代表する偉業の一つとして讃えられたのです。このインド航路開拓によりポルトガルはアジア進出を本格化させ、インド~東南アジア地域にいち早く拠点を築くことができたのです。
1898年に発行されたこの1000レイス銀貨は、かつての栄光の時代を顕彰するために製造されました。表面には当時の国王カルロス1世(在位:1889-1908)と、アメリア王妃の胸像が表現されています。このように二人以上の肖像が表現されたコインは「ジュゲートコイン」と呼ばれ、古代より記念コインや記念メダルなどに見られました。
裏面にはポルトガルを象徴する松葉杖十字と共に「IN HOC SIGNO VINCES (=この印によりて汝は征服者となる)」銘が配されています。この銘文はポルトガル王国のコインに共通して刻まれ、旧植民地のブラジルのコインにも表現されていました。
この銀貨が発行された当時、ポルトガルは斜陽の時代を迎えていました。海洋の覇権はイギリスやフランスに奪われ、最大の植民地であったブラジルを失ったポルトガルは、財政難と政治的混乱が相次ぐようになります。このコインに刻まれた国王カルロス1世も、10年後の1908年に暗殺されます。1910年には共和政革命によって王政が廃止され、ブラガンサ王朝は消滅しました。斜陽の時代に発行されたこの銀貨は、栄光に溢れた時代を懐古するポルトガル国民にとって意義深い記念コインとなったのです。