ナポレオンは1804年5月に元老院の推戴を受け、国民投票による圧倒的な支持によって皇帝となりました。同年12月2日にはパリのノートルダム大聖堂で豪華な戴冠式が挙行され、ナポレオンによる第一帝政が華々しく始まりました。
この40フラン金貨はナポレオンが皇帝に即位した年に発行された最高額面の金貨であり、歴史的な一場面を代表する金貨でもあります。
ジャック=ルイ・ダヴィッド作『ナポレオン一世の戴冠式』(1807年) 裏面には国号
「REPUBLIQUE FRANÇAISE. (フランス共和国)」銘とフランスの象徴である雄鶏、パリの造幣局で製造されたことを示す「A」銘、共和暦(=フランス革命暦)による13年目を示す
「AN 13」銘が配されています。
ナポレオン1世は元老院による推戴と国民投票を経て皇帝に即位したため、初期の時点では体裁上「共和国」のままでした。ナポレオンの権威が高まるに従い、コインの共和暦表記は西暦となり、1809年からは国号表記が「EMPIRE (帝国)」に変更されました。
また縁部分には陰刻による「
DIEU PROTEGE LA FRANCE (=神はフランスを護る)」銘が配されています。