商品説明
カラカラ帝の治世末期に発行されたアントニニアヌス銀貨。このコインはカラカラ帝による通貨改革によって初めて発行され、名目上はデナリウス銀貨2枚分の価値があるとされていました。
3世紀のローマ帝国で盛んに発行されるアントニニアヌス銀貨は、カラカラ帝によって初めて発行された単位の銀貨でした。なお「アントニニアヌス」とは後世の貨幣学上の通称であり、カラカラ帝の本名「アントニヌス」から名付けられました。そのため、この当時何と呼ばれていたかは分かっていません。
重量は通常のデナリウス銀貨より重い点や、直径が明らかに大きくなっている点、また皇帝肖像が月桂冠ではなく「光の冠」と呼ばれる独特な冠を戴いている点が特徴です。その後ローマ帝国の財政が悪化するにつれ、アントニニアヌス銀貨は発行数を増大させると共に、銀の含有率は年々減らされていきました。3世紀の後期になる頃にはほとんど青銅によって作られ、その上から銀のメッキをかけて銀貨のようにみせるという有様でした。
このカラカラ帝のアントニニアヌス銀貨では、発行開始初期ということもあってか、まだ銀の含有率もそこまで低くなく、皇帝の肖像も本人に似せて細かく、しっかりとしたコインです。名目上とはいえ、デナリウス銀貨2枚分の価値に違わない立派な銀貨を発行していたことが伺えます。
裏面にはセラピス神が表現されています。セラピスはプトレマイオス朝エジプトで信仰され、オシリスや聖牛アピスといった古代エジプトの神々や、ゼウスやディオニソス、アスクレピオス、ヘリオスといったギリシャの神々も融合した大神とされました。そのためセラピスは地下と天空を支配し、治癒や奇跡をもたらす権能が信じられました。
ローマによるエジプト征服後は帝国各地にセラピス信仰が広まりました。カラカラ帝も信奉していたことが知られ、セラピス神殿を建立したと云われています。