ハドリアヌス帝(在位:AD117-AD138)はローマ五賢帝の一人に数えられた名君であり、イギリスの古代遺跡「ハドリアヌスの長城」でも知られます。日本では映画『テルマエ・ロマエ』で一躍その名が知られるようになりました。
ハドリアヌスの長城跡 彼は「旅する皇帝」とも呼ばれ、在世中は帝国の各地を巡幸視察しました。その足跡は、北はブリテン島~南はエジプトまで果てしなく広がっています。
また、ローマ皇帝として初めて豊かな頬髯を蓄えたことでも知られています。ハドリアヌス帝が頬髯を蓄えた理由は定かではなく、ギリシャ文化趣味の表れとも、戦闘中に付けられた頬の傷を隠すためとも云われています。しかし彼の後の歴代皇帝たちは、続けて頬髯を生やすスタイルを継承しました。その姿は、当時発行されていたコインにも明瞭に表されています。