• ネロ帝/サルース女神
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 皇帝ネロ治世下のローマ帝国で発行されたアウレウス金貨。表面には、月桂冠を戴くネロ帝(在位:AD54年~AD68年)の横顔肖像が打ち出されています。長く伸ばした後ろ髪と太い首、二重顎と奥まった目は、美化されず写実的に表現された当時の皇帝像です。


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                   後世に描かれた皇帝ネロの肖像

 ネロは後世の人々から「暴君」の代名詞のように評価され、古代ローマ帝国の退廃性、残虐性を象徴する皇帝として認識されています。しかし近年の研究ではネロ帝治世中の施策が再評価され、また当時のローマ市民から支持されていたことが分かり、徐々にそのイメージが変化しつつあります。

 当時のコインに刻まれている肖像は、必ずしも良い第一印象とは言えず、美意識と芸術性が高かったとされるネロ帝には不釣合いなものです。こうした視覚的イメージもあり、後世の人々から悪人としての評価が長く付きまとっていたとも考えられています。


 ネロ帝はAD64年に起こったローマ大火後、その復興に積極的に取り組んだとされています。ネロ帝は巨額の復興費用を賄う為、帝国の財政改革を行いました。その一つが「通貨の切り下げ」による復興費用捻出でした。それまで流通していたデナリウス銀貨とアウレウス金貨を回収し、以降は重量と純度を下げてコインを発行することで、財政出動できる通貨の量を増やしたのです。

 このアウレウス金貨はネロ帝の通貨改革後に発行されたものであり、従来発行されていた金貨よりわずかに軽量化されています。この基準は後の時代にも引き継がれ、拡大するローマ帝国の発展に寄与しました。


 

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