商品説明
1世紀末のローマ帝国を統治したドミティアヌス(在位:AD81-AD96)は父親にウェスパシアヌス帝、兄にティトゥス帝を持つフラウィウス朝の皇帝でした。父帝と兄帝と異なり後世の評価は低く、スエトニウスの『ローマ皇帝伝』や、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』では小心冷酷な人物として記されています。ドミティアヌスは悪政を施いたローマ皇帝として認識され、ネロ帝やコンモドゥス帝と並ぶ暴君のイメージが定着しています。
在世中のドミティアヌス帝は規律の厳粛さを求め、規制や法の厳罰化は親族や元老院であっても適応されました。そのため政敵は多く、ドミティアヌス帝は暗殺の恐怖に怯えるようになります。暗殺を恐れるあまり疑心暗鬼となり、元老院を無視した独裁を強めていきました。
しかし最期は側近たちによって暗殺され、ドミティアヌスが最も恐れていた形で治世を終えることになりました。
暗殺後、元老院はドミティアヌスに対して「ダムナティオ・メモリアエ(記録抹消)」の決議を行い、公式に悪帝と認定されました。その結果ドミティアヌス帝の記念碑や銘文、貨幣はその多くが破壊、または鋳潰されました。