紀元前1世紀末、リュキア地方の古代都市マシキュテスで造られたヘミドラクマ(1/2ドラクマ=3オボル)銀貨。
表面には光明神
アポロの横顔像、裏面には詩歌・音楽の守護神アポロを象徴する
竪琴が表現されています。左右には発行都市マシキュテスを示す「
M A」銘、右下にはアポロ神の神託を象徴する小さな
三脚鼎が配されています。
デルフォイのアポロ神殿遺跡 デルフォイ(現在のギリシャ,ポーキス地方 パルナッソス山南麓)にはアポロ神の聖域があり、その神殿ではアポロ神の神託を授かると云われていました。ギリシャ各地から神託を求める人々がデルフォイに巡礼し、神殿の巫女たちの口を通じてアポロ神の神託を授かりました。この神託は古代ギリシャ世界にとって重要なものと認識され、政治的な決定や戦争の勝敗、植民都市の建設予定地や行事の催行日までを左右するほどでした。
神殿にはタレスやソロンなど七賢人の手を経て納められたと伝わる三脚鼎があり、巫女たちは鼎の上に腰掛けることでアポロ神と交信し、神託を授かる儀式を行いました。そのため、三脚鼎はアポロ神を象徴する神器となり、コインや彫刻などで頻繁に表現されるようになりました。