表面には月桂冠を戴く
アポロ神の横顔像が打ち出されています。その姿は女性にも見える中性的な容姿であり、光明の美男神に相応しい造型です。
裏面には
月桂樹のリースに囲まれるアポロ神の立像が表現されています。右下には壺と
オンファロス(世界の中心とされた聖石)が配されています。
裏面のデザインを月桂樹のリースで囲むスタイルは、紀元前2世紀~紀元前1世紀頃のヘレニズム期、小アジア~フェニキアの諸都市で発行されたコインに多く見られます。この様式はローマに征服される直前の時期まで、各地の都市で広く流行していたとみられています。
壺などに入れられまとまった状態で発見されていることから、当時の人々が蓄財として退蔵し、その後何らかの理由で回収できなかったものとみられます。または神殿への献納品、都市の資産だった可能性もあります。