父帝セプティミウス・セウェルスの治世下(*名目上の共同統治)に発行 カラカラ帝は全属州民にローマ市民権を付与した「アントニヌス勅令」の発布で知られ、大浴場の建設やアントニニアヌス銀貨の発行にみられる通貨改革等によって後世に名を残しました。しかし弟ゲタをはじめ、政敵と見做した人々に対する大粛清、アレクサンドリア市民に対する大虐殺など、凶暴な一面を併せ持ち、ローマ帝国史上を代表する暴君の一人に数えられています。
カラカラ浴場跡 (イタリア,ローマ) カラカラ帝がローマに建設した大浴場はコンクリートとレンガを駆使し、芸術性と実用性を兼ね備えた大規模な公共建築物でした。ドーム型の熱浴室(カルダリウム)はパンテオンを凌ぐ大きさであり、鮮やかで細密なモザイク画の床と漆喰画の天井、大理石の壁によって豪華に装飾されていたようです。ローマ帝国の驚異的な建築技術と栄華を誇る遺跡として、今なお観光客が絶えない大遺跡です。