• アントニニアヌス銀貨 カラカラ帝/ジュピター神
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 3世紀中のローマ帝国で盛んに発行されるアントニニアヌス銀貨は、カラカラ帝による通貨改革によって初めて発行され、名目上はデナリウス銀貨2枚分の価値があるとされていました。なお、「アントニニアヌス」とは後世の貨幣学上の通称であり、カラカラ帝の本名「アントニヌス」から名付けられました。そのため、この当時何と呼ばれていたかは分かっていません。

 重量は通常のデナリウス銀貨より重い点や、直径が明らかに大きくなっている点、また皇帝肖像が月桂冠ではなく「光の冠」と呼ばれる独特な冠を戴いている点が特徴です。その後ローマ帝国の財政が悪化するにつれ、アントニニアヌス銀貨は発行数を増大させると共に、銀の含有率は年々減らされていきました。3世紀の後期になる頃にはほとんど青銅によって作られ、その上から銀のメッキをかけて銀貨のようにみせるという有様でした。

 このカラカラ帝のアントニニアヌス銀貨では、発行開始初期ということもあってか、まだ銀の含有率もそこまで低くなく、皇帝の肖像も本人に似せて細かく、しっかりとしたコインです。名目上とはいえ、デナリウス銀貨2枚分の価値に違わない立派な銀貨を発行していたことが伺えます。


 

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