• アポロ神/ライオンと闘うヘラクレス
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 紀元前4世紀の北ギリシャ、パエオニア王国で発行されたテトラドラクマ銀貨。リュケイオス王の治世下、アスティボスまたはダマスティオンで製造されたとみられています。

 パエオニア王国は現在のギリシャ北部からマケドニア、ブルガリアにまたがる地域を包括した王国でした。BC359年にマケドニア王ペルディッカス3世が戦死すると、同地域のパエオニア人たちはマケドニアからの自由を宣言し、自分達の王国を独立させたとされます。この地に建国されたパエオニア王国はBC286年まで存続しましたが、その後マケドニアに再度併合されると、次第にパエオニア人自体が他の周辺民族と同化されて消滅したといわれています。


 表面には光明神アポロの横顔像が打ち出されています。頭部にはアポロ神の象徴である月桂樹の冠を戴いています。

 裏面には、ギリシャ神話に登場する英雄ヘラクレスの名場面「ネメアの獅子との激闘」が表現されています。凶暴なライオンと取っ組み合うヘラクレスは武器を捨て、腕に噛み付くライオンを素手で取り押さえようとしています。

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              ネメアのライオンとヘラクレスの闘い (ルーベンス作)

 ギリシャ神話の一つ「ヘラクレスの十二功業」に登場するこの場面は、ヘラクレスの超人的な強さを物語る伝説として古代ギリシャ・ローマでは広く知られていました。

 ヘラクレスはミュケナイの王から様々な難題を命じられ、それをこなす為にギリシャ各地へ赴きます。その難題の一つが「ネメアの谷に住む凶暴な獅子の退治」でした。
 ペロポネソス半島北東部ネメアの谷には凶暴な人食いライオンがおり、人々から恐れられていました。ヘラクレスは弓で射殺そうとしますが、その毛皮は刃物を通さない鋼のような硬さでした。そこでヘラクレスは武器を捨て、素手でライオンを取り押さえて絞め殺すことにします。洞窟に追い詰めたヘラクレスはライオンと取っ組み合い、その豪腕でついに凶暴な獅子を倒すことが出来たのです。
 ヘラクレスはこのライオンの毛皮で頭巾を作り、戦いの際には常に被るようになりました。ヘラクレス像がライオンの毛皮を頭に被っているのはその為です。

 尚、この時殺されたライオンは天空のゼウス神によって迎えられ、十二星座のひとつ「獅子座」にされたと云われています。


 

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