【フランツ・ヨーゼフ1世 ハンガリー使徒王戴冠40周年記念】 ※リストライク(再鋳貨) ※PCGSスラブ-PR64 オーストリア=ハンガリー帝国時代のハンガリー王国で発行された大型の5コロナ銀貨。ハンガリー王 フランツ・ヨーゼフ1世(ハンガリー名:フェレンツ・ヨジェフ1世)の戴冠40周年を記念して発行されました。
ハプスブルク王朝は現在のオーストリアをはじめ、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、クロアチアを包括し、ウクライナやポーランド、ルーマニアの一部を含んだヨーロッパ大陸中央部を統治しました。しかし19世紀以降、帝国内の民族問題が噴出し、独立運動や革命騒動が相次ぎました。
1867年、オーストリアはハンガリーの独立を認めることで帝国を再編成し、民族問題を沈静化しようとしました。この政策は「アウグスライヒ(妥協)」と呼ばれ、ハンガリーは外交や軍事、財政以外の内政面で独立を達成しました。君主はオーストリア皇帝であるフランツ・ヨーゼフ1世を「ハンガリー使徒王(=聖イシュトヴァーンの王冠の継承者)」とし、オーストリアとハンガリーは同君連合国家となります。こうして成立した「オーストリア=ハンガリー帝国」は第一次世界大戦で帝国が敗北し、解体されるまで50年にわたって存続したのです。
1867年6月、フランツ・ヨーゼフ1世は皇妃エリザベートと共にハンガリーの首都ブダペストを訪問し、マーチャーシュ聖堂でハンガリー王戴冠式に臨みました。
戴冠式40周年を記念して発行されたこの銀貨には、礼服姿でひざまづくフランツ・ヨーゼフ1世に、聖イシュトヴァーンの王冠を授ける司祭の姿が表現されています。左側で司祭と共に王冠を支えている人物は、ハンガリー王国独立を推進し、初代首相となった
アンドラーシ伯爵(1823年~1890年)です。
この構図は1867年当時の記念すべき戴冠式を理想的に、そして忠実に再現しています。
この戴冠式によってハンガリーは念願の独立を手にし、オーストリア=ハンガリー帝国が成立しました。ハンガリー人のみならず、オーストリアにとっても大きな節目となった大セレモニーでした。1907年、治世60周年を目前としたフランツ・ヨーゼフ1世と、ハンガリー王国の成立40周年を讃えるためこの記念銀貨が発行されました。
銀貨の表面には、月桂冠を戴く
フランツ・ヨーゼフ1世(在位:1848年~1916年)の横顔肖像が表現されています。
史上最長の在位を誇った老皇帝は、凛凛しくも力強い姿で表されています。周囲部には、ハンガリー語で「
FERENCZ JOZSEF I ・ K ・ A ・ CS ・ ES ・ M ・ H ・ S ・ D ・ O ・ AP ・ KIR (フェレンツ・ヨジェフ 恩寵たるオーストリア皇帝 ハンガリー・クロアチア・スロヴァキア・ダルマチアの王にして信仰の使徒)」 の銘が刻まれています。オーストリア=ハンガリー帝国の多民族性を象徴する刻銘です。
裏面には1867年に執り行われた、フランツ・ヨーゼフ1世のハンガリー使徒王戴冠式が表現されています。その周囲部には「
MEGKORONAZTATASANAK NEGYVENEDIK EVFORDULOJARA 1867-1907 (戴冠式40周年 1867年~1907年)」の銘が刻まれています。