紀元前3世紀末、第二次ポエニ戦争中の古代ローマで発行されたセクスタンス銅貨。ハンニバル率いるカルタゴ軍のイタリア半島侵入時、ローマでは従来の大型銅貨の重量を改め、軽量化した新しい銅貨が発行、使用されました。この銅貨はハンニバルがローマ経済に及ぼした影響を物語るものであり、従来の銅貨に比べて半分の重さになっています。それに伴い、製造方法は従来の鋳造から打刻へと変化し、後のローマコインに近づく変化を遂げています。
表面にはローマ建国神話に登場する重要な一場面、
建国者ロムルスとレムスに乳を与える雌狼が表現されています。テヴェレ川から流れ着いた幼い双子を助けたのは一匹の雌狼でした。古代ローマでは雌狼を「ルパ」と呼んでいましたが、いつしかローマ人にとって雌狼(ルパ)といえば、最も知られた神話に登場する雌狼を指すようになりました。
コインの両面に配されている二つの球体は、銅貨の額面上の価値(=2ウンキア)を示しています。