アンナ・ペレンナは「一年」を象徴する女神と考えられ、その名はラテン語の祈祷文「ut Annare Perennaresque commode liceat(一年を無事に過ごせますように)」に由来しているとされます。ローマのフラミニア街道に近い聖域で奉られ、新年3月の満月の日に犠牲獣などが捧げられたと云われています。
共和政時代のデナリウス銀貨は帝政時代と比べて重く、銀品位も良かったため、多くは資産価値が認められ貯蔵されていました。ローマが対外的な領土拡張策を推進していた時代、戦地へ赴く兵士が出征前に資産を隠す場合があったと考えられています。しかし埋蔵した本人が帰還せず戦地で没し、他者にも資産の存在が知られなかったため、そのまま退蔵されたコインが後世にまとまって出土するケースもあります。
また、共和政期ローマのデナリウス銀貨には「バンカーズマーク」と称される人為的な加刻が多いことも特徴です。当時、銀メッキを施した偽造銀貨が横行したため、両替商などではコインの表面に傷をつけて中身まで本物の銀であるか否かを確かめていました。こうしたバンカーズマークは本物の銀貨の証であり、2000年以上前のローマ人が実際に使用していた痕跡でもあるのです。