• オボル銀貨 ペルシア王/ペガサス
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 紀元前4世紀の小アジア南部、キリキア地方で造られたオボル銀貨。1/6ドラクマの価値に相当したこの小さなコインは、古代ギリシャの一般市民にとってとても身近な銀貨でした。

 日常の買物や手当ての支払いに用いられましたが、価値の大きさに対してその小ささは常に問題となりました。縫製がしっかりしておらず、ポケットもまだ衣服についていなかった時代、小さなオボル銀貨は紛失しやすいコインでもありました。そのため、市場へ買物に行くときはなくさないように口の中に入れ、支払う時に吐き出す方法が広まっていたとされています。
 また、古代ギリシャでは人は亡くなると境となる川を渡って現世から離れ、冥界へ入ると信じられていました。現世と冥界を隔てる川を渡るには、カロンという老人の船に乗せてもらうのですが、この際にカロンに支払う船賃が1オボルとされていました。1オボルを支払えない者は後回しにされ、数百年間もの間、現世と冥界の境界を彷徨うことになると云われていました。そのため、この伝承が強く信じられていた地域では死者を弔う際、オボル銀貨をその口に入れる風習があったとされています。


 

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