• アレキサンダー(ヘラクレス)/ゼウス神
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【NGCスラブケース入り―評価:Ch XF (Strike:5/5 Surface:4/5)】


 紀元前4世紀末の古代マケドニア王国で発行されたテトラドラクマ銀貨。このコインはアレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)の没後、フィリッポス3世の時代に造られました。メソポタミアの古代都市バビロンに存在した造幣所で造られたとみられています。

 表面にはアレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)の横顔像が打ち出されています。頭部にはライオンの毛皮を被り、神話上の英雄ヘラクレスに重ね合わせたイメージで表現されています。

 アレキサンダー大王は少年時代よりギリシャ神話の英雄ヘラクレスに強い憧れを抱き、自らを「ヘラクレスの末裔」と信じていたと伝えられます。コイン上に表現されたヘラクレスの顔は、当時のアレキサンダー大王本人の横顔を表現したものと考えられています。このコイン自体は大王が亡くなった直後の時期に造られましたが、その後も同じデザインの銀貨が征服地の各地域で最も信用のおける通貨として、造幣・流通が継続されたのです。


 裏面には大神ゼウスが表現されています。玉座に腰掛けるゼウス神は左手で王笏を支え、右手上には自らの聖鳥である鷲を乗せています。玉座の下部には「ΚΥ」銘が配され、左下には光り輝く太陽神ヘリオスの頭部も配されています。
 右側には通常アレキサンダーの名銘「ΑΛΕΞΑΝΔΡΟΥ」が刻まれていますが、このコインでは代わりに発行者フィリッポス3世を示す「ΦΙΛΙΠΠΟΥ ΒΑΣΙΛΕΩΣ (フィリッポス王)」銘が刻まれています。


 

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