• イタリア ローマ共和国 1849 3バイオッチ銅貨 ファスケスと大鷲
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 ローマ共和国は1849年の2月~7月の短期間のみ存在した国家であり、その間に発行された銅貨、銀貨等のコインは歴史的な希少価値があります。この3バイオッチ(1/10テストンに相当)は37.5mm、25gのメダルのような大型銅貨ですが、目立った磨耗や傷跡がなく、流通痕跡の見られない極めて恵まれた保存状態です。

 1848年にフランスで勃発した二月革命は瞬く間にヨーロッパ全土に波及し、ドイツやオーストリアでも革命による騒乱が起こりました。教皇が支配していたイタリアのローマでも革命が勃発し、教皇ピウス9世をローマから追放して「ローマ共和国」が樹立されました。
 青年イタリア党のマッツィーニをはじめとする主導者たちは、共和政時代の古代ローマを模範とした国づくりを推進しました。三人の執政官(コンスル)による三頭政治が行われ、死刑廃止や信教・言論の自由、教育の無償化などを明記した憲法が発布されました。
 ローマ共和国は樹立から僅かの間に本格的なコインを発行しています。ニッコロ・チェルバーラによって彫刻されたコインのデザインは、リースに囲まれた大鷲が翼を広げ、両足でしっかりとファスケス(束桿)を掴んだ、古代ローマを意識した意匠になっています。周囲部には「DIO E POPOLO (神と人々)」銘が配され、カトリック信者の多いローマ市民への配慮もみられます。


 ローマを離れた教皇ピウス9世はカトリックの強国フランスに救援を要請し、それに応じる形でフランス軍がローマへ進軍しました。ガリバルディらに率いられたローマ軍は徹底抗戦しましたが、フランス軍はローマ市を包囲して攻撃を加え続けました。7月にローマ軍は降伏し、ピウス9世の帰還と教皇領の復活が宣言されたことでローマ共和国は消滅しました。

 ローマ共和国はわずか5ヶ月間のみ存在した国家でしたが、優れたイタリア人彫刻家とローマ市内の造幣局を活用して、僅かな期間に優れたコインを発行しました。170年前の短命国家が残した、貴重な大型コインです。


 

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