テオドシウス1世はローマ・ギリシャの伝統的な多神教を否定し、キリスト教を帝国唯一の国教に定めたことから「大帝」とも呼ばれています。
テオドシウス帝によるキリスト教国教化は多神教の否定であり、同時に古代ギリシャ・ローマ時代の終焉を意味していました。キリスト教が国家にとって唯一の公認宗教となったことで、ローマの神々は信仰の対象から公的に外され、数々の彫像や神殿が破壊・改修されてゆきました。1000年以上も絶えることなく続いていたギリシャ、オリンピアの祭典(古代オリンピック)も、テオドシウス帝によって廃止されたと記録されています。
また、統一されたローマ帝国の最後の皇帝としても知られ、その後二人の息子が帝国を東西に分割しました。長男のアルカディウスは東ローマ帝国(ビザンツ)、次男ホノリウスは西ローマ帝国を継承し、二つのテオドシウス朝が地中海世界を支配してゆきます。
聖アンブロシウスに聖堂入場を拒まれるテオドシウス帝 (ヴァン・ダイク作)