19世紀末、フランス保護領時代の北アフリカ、チュニジアで発行された20フラン金貨。
表面にはフランス語で「TUNISIE 20 FRANCS」と発行年「1892」、パリ造幣局のミントマーク「A」が打ち出されています。裏面にはアラビア語で太守アリー・ベイの名銘と額面、ヒジュラ暦の発行年「1310」が刻まれています。
フランス保護領時代のチュニジアで発行された20フラン金貨は、当時のフランスで発行されていた20フラン金貨と同じ規格で造られています。この時代にはすでに通貨単位も同じくフランになり、フランスの通貨制度と完全にリンクした体制が採られていました。しかしデザイン面では偶像崇拝を忌避するイスラームの教えに従い、モティーフはなくフランス語・アラビア語併記の文字だけのシンプルな金貨です。なお、縁部分にはイスラームを象徴する星と三日月の陽刻紋様が施されています。
フランス保護領時代の首都チュニス (フランス門、1899年) もともと存在した城壁の門の上に、フランス共和国を示す「RF」銘が追加して刻まれています。