• 帝位簒奪者マグネンティウス/騎兵&命乞いする蛮族
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 このコインは4世紀半ばの古代ローマ帝国、ゲルマニアで発行されました。マグネンティウスはこの地を治めていた皇帝コンスタンス2世を殺害し、皇帝位を僭称した将軍です。一時はガリア、ゲルマニア地方などを勢力下に置いていましたが、コンスタンス2世の兄であるコンスタンティウス2世との戦いに敗れて自決しました。

 裏面に表現された勇ましい騎士は、マグネンティウス本人を表していると云われています。左手で盾、右手で長槍を構えるマグネンティウスは、辺境から侵寇した蛮族の兵にとどめを刺そうとしています。一方の蛮族は盾を放り出し、槍も折れ曲がってしまい、戦いを放棄しています。膝まづいた蛮族は馬上のマグネンティウスに両手を掲げて、必死に命乞いしているように見えます。馬上のマグネンティウスとその馬、絶体絶命の蛮族の顔までしっかり確認できます。

 通常、広く流通した銅貨で細部の意匠が残されているものは少なく、ここまで明瞭に確認できるものは稀といえるでしょう。激しい戦いの最中、命のやり取りが行われる緊迫の一瞬を切り取った、興味深いデザインのコインです。


 

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