18世紀のスペイン領、銀山都市ポトシで造られた8レアル銀貨。「ピースオブエイト」の愛称でも知られ、スペイン領時代の南アメリカで広く使用された銀貨です。
現在のボリビア南部に位置するポトシは、スペインによる征服後に銀山都市として開発され、産出される豊富な銀はスペイン本国とヨーロッパ、太平洋を越えたアジアの経済にまで影響を与えました。産出された銀は精錬後に棒状にされ、重さごとに切り分けた後、ハンマーで刻印が打たれてコインとなりました。こうしたコインは「Cabo de Barra(棒の切れ端)」から「コブコイン」と呼ばれています。歪な形状のため上手く刻印を打ち込めず、形も不揃いですが、植民地時代の新大陸の富を象徴するコインとして、アメリカをはじめ世界各地で根強い人気があります。
コブコインはカリブ海の沈没船や埋蔵宝物の主要品として多く発見されています。ピースオブエイトはカリブの海賊達にとって主たる掠奪の対象であり、自らの大切な財産でもありました。