【NGCスラブケース入り (評価:VF35)】 中世スペインのカスティーリャ王国で発行された2エクセレンテ金貨。スペインの歴史上、最も重要な時代に発行された貴重なコインです。カスティーリャ王国の都市 セビリアの造幣所で造られました。
金貨の表面には、二人の君主の肖像が打ち出されています。左側は
アラゴン王 フェルナンド2世(カスティーリャ王としてはフェルナンド5世)、右側は
カスティーリャ女王 イサベルです。互いに向き合うこの姿は、この二人が夫婦であることを示しています。
中世のスペインは国家として統一されておらず、幾つかのカトリック王国とイスラーム系王朝が割拠し、それぞれで異なる文化を有していました。その中でも特に有力だった二つのカトリック王国、
アラゴン王国のフェルナンドとカスティーリャ王国のイサベルが結婚したことで、両国は事実上統一され、現在のスペイン王国が形作られたのです。 この二人の治世下、スペインとヨーロッパの歴史は大変重要な時代を迎えます。当時のスペインには南部にイスラーム系の王朝が存在し、カトリック系諸国は一致してその勢力を駆逐しようと、およそ800年にわたって戦いを続けていました。この「
レコンキスタ (国土回復運動)」を最終的に完結させたのがフェルナンドとイザベルでした。
南部のグラナダを首都としたナスル朝は小国でしたが、スペインに残された最後のイスラーム王朝として15世紀の末まで存続していました。しかしカスティーリャ=アラゴン連合軍によって攻勢を強められ、首都グラナダは完全に包囲されました。1492年1月、ナスル朝最後の王 ムハンマド11世は11年半にもおよぶ篭城戦の末、ついに降伏を決意し、城の鍵をフェルナンド王とイサベル女王に手渡してグラナダから撤退しました。
鍵を受け取ったフェルナンド王とイサベル女王はグラナダのアルハンブラ宮殿に入城。これによっておよそ800年続いたスペインのレコンキスタは終結し、カトリック王国による統一が達成されたのです。当時のローマ教皇アレクサンドル6世は二人の偉業を讃え、1496年に
「カトリック両王」という称号を授与しました。
同じく1492年にはもう一つの歴史的偉業が達成されました。この当時、イサベル女王によって支援されていた
クリストファー・コロンブスの船団が、新大陸アメリカを発見したのです。この大発見は統一された新しいスペインを飛躍させる大きな原動力になりました。アメリカ大陸からもたらされた富はそれまでのヨーロッパ社会を大きく変動させ、中世から近代へと移り行く節目にもなりました。カトリック両王の時代はスペイン黄金時代の輝かしい幕開けであり、中世ヨーロッパの終わりでもありました。
コロンブスとフェルナンド王&イサベル女王 スペインの統一を成し遂げ、王国の黄金時代をもたらしたカトリック両王の時代に造られた歴史的の貴重な金貨。「中世」と「近代」の節目の時代に発行された、世界史にとって重要な時代のコインです。