
同時に、ポセイドンは自然の猛威から人々を守護する力も持っていると捉えられていました。オリュムポス十二神にも数えられるほど古代ギリシャ人の関心は高く、特に海洋交易や戦場に身をさらすことの多かった当時の人々にとって、非常に強力な守護神でもあったのです。ポセイドンを祀る神殿は地中海沿岸の多くの都市に建立され、現代でも数多くの神殿跡が遺跡として保存されています。
裏面には、ガレー船の舳先に座る光明の美男神 アポロが表現されています。裸のアポロ神は、しなやかな肢体で船に寄りかかり、脚を交差させた優雅な姿で刻まれています。アポロ神は芸術的才能、音楽、牧畜を守護する神であると共に、弓の名手としても知られました。右手には弓が握られており、その特性が表されています。アポロ神の外見的特徴である「カールさせた長い後ろ髪」までしっかりと刻まれており、当時の原型彫刻師のこだわりが垣間見えます。
ガレー船の船体部分には、陰刻部分に「ΒΑΣΙΛΕΩΣ」の銘、下部の陽刻部分に「ΑΝΤΙΓΟΝΟΥ」の銘が刻まれており、合せて発行者を示す「王たるアンティゴノス」を表しています。
裸のアポロ神坐像は、セレウコス朝シリアのコイン裏面に多く用いられたモティーフでした。その為、アンティゴノス3世とセレウコス朝の象徴を組み合わせたこのデザインは、両者の同盟関係を示しているのです。
このコインは古代ギリシャコインの名品の一つに数えられ、後世には近現代ギリシャの通貨にもそのデザインが度々用いられました。現代を生きる人々の感性にも合致した、芸術的にも素晴らしい作品であることを示しています。
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