1814年のイギリスで造られた大型メダル。このメダルは摂政皇太子ジョージ(後のジョージ4世)の一人娘、
シャーロット・オーガスタ王女(1796年~1817年)の婚約を祝して造られたものです。
シャーロット・オーガスタ王女はジョージ皇太子とキャロライン王妃の間にできた唯一の子どもであり、イギリス女王として即位する可能性が高い王女でした。両親は結婚当初から不仲でしたが、放蕩なジョージ皇太子に気に入られたシャーロットは父親似の恋多き女性として育ちました。1814年にドイツのザクセン=コーブルク=ゴータ家のレオポルド王子と婚約した際も、結婚までに王女が他の男性と駆け落ちするのでないかと心配されたと云われます。
メダルの表面にはシャーロット・オーガスタ王女の横顔像と共に、ラテン語による名銘「CAROLETTA
AVGVSTA」が刻まれています。シャーロット王女はわがまま奔放に育てられたため、陽気で激しい性格だったと伝えられていますが、この肖像では貞淑な落ち着いた女性として表現されています。
裏面には女神スペースの立像が表現されています。スペースは「希望」を具現化した女神像です。コルヌ・コピア(豊穣の角)や櫂、球体を携えた女神の上部には、ラテン語で「
SPES PVBLICA (国家の希望)」の銘が刻まれています。