• カエサル発行 クレメンティア女神/ガリアのトロフィー
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 紀元前1世紀半ばのローマ内戦下、ユリウス・カエサルの軍団が発行したデナリウス銀貨。現在のアルバニア~ギリシャ方面を進軍中に発行したと考えられています。紀元前48年1月、イタリア半島を逃れたポンペイウスを追いかけ、カエサル率いる軍勢はアルバニアに上陸しました。その後デュラキウムやテッサリアで戦いが行われた結果、カエサルは勝利し、東方で影響力を持っていたポンペイウスを追い詰めることに成功します。ギリシャで敗れたポンペイウスはエジプトに亡命しますが、当地で命を落とすことになります。

 このデナリウス銀貨はギリシャにおける一連の重要な戦いの最中、カエサル軍の陣中において製造されました。この4年以上に亘る内戦はイタリア半島に留まらず、ガリアやヒスパニア、ギリシャ、北アフリカなど広範囲に及んでいました。そのためカエサルの軍団は転戦先でコインを発行し、兵士への給与や物資調達に役立てたのです


 このコインの表面には、耳飾りをつけた若い女性像が表現されています。後頭部で髪を結ってリースを巻き、首にも首飾りをつけています。この女性像は慈悲と寛容の女神 クレメンティアを表現したものと云われています。

 裏面にはガリアの武具で作成された戦勝トロフィーが表現されています。左にはガリアの紋様が刻まれた盾、右側にはガリア人の武器である斧が配されています。発行者であるカエサルが、ガリア戦役において功績を立てたことを誇示するデザインとみられ、下部にはカエサルの名銘「CAESAR」が刻まれています。


 全体に上品なトーン(経年変色)がかかった、保存状態の良い一枚。一部に亀裂もみられますが磨耗はほとんど無く、意匠の細部まで残された美しい状態です。また全体の打ち出しも良好であり、古代コインコレクションにお奨めです。


 

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