2世紀半ば、アントニヌス朝時代の古代ローマ帝国で発行されたデナリウス銀貨。このコインは「五賢帝」の一人として名高い哲人皇帝、マルクス・アウレリウス(在位:AD161年～AD180年)の治世初期に造られました。

　表面には、月桂冠を戴くマルクス・アウレリウス帝の横顔肖像が打ち出されています。その周囲部には「IMP M AVREL ANTONINVS AVG (最高司令官マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝)」の尊称号銘が刻まれています。

　裏面には先見・予知を司る女神 プロヴィデンティアが表現されています。女神は左腕でコルヌ・コピア(豊穣の角)を抱き、右手で球体(世界=ローマ帝国を象徴)を持っています。
　当時、先見の明はローマ皇帝にとって重要な素質の一つと考えられており、コインの裏面デザインとして度々採用されました。