第二帝政時代のフランスで発行された20フラン金貨。表面に打ち出された
ナポレオン3世(在位:1852年~1870年)の横顔肖像は端整な紳士風の顔立ちで、髪の毛の流れも細かく表現されています。月桂冠を戴く後期の肖像とは異なり、威厳あふれる姿よりも親しみのある印象です。
発行された1860年は、フランス・イギリス連合軍が清国と戦い(アロー戦争、第二次アヘン戦争)、アジアへの進出を本格化させた時期です。日本では幕末にあたり、同年には桜田門外の変が勃発しました。
皇帝ナポレオン3世 (1857年頃) 当時のフランスにおいて最も一般的な金貨はこの20フラン金貨でした。20フランは現在の日本の購買力に換算すると、およそ2万円ほどの価値があったとされています。フランスでは代表的な金貨であり、19世紀初頭、ナポレオン・ボナパルトの時代に発行が開始されたことから「ナポレオン金貨」とも呼ばれています。ナポレオン1世以降、政権が代わっても20フラン金貨は同じ規格で造幣され続け、甥のナポレオン3世の時代には特に多く発行されました。