• アテナ神/フクロウ
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 紀元前5世紀後半、最盛期の都市国家アテネで造られたテトラドラクマ(4ドラクマ)銀貨。当時のアテネはデロス同盟の盟主としてギリシャ世界の中心となり、政治家ペリクレスや建築家フェイディアスの活躍によって政治・経済・文化の面で栄えました。アクロポリスの丘に立つパルテノン神殿が建設されたのもこの時期にあたります。

 表面には、アッティカ式兜を被った守護女神アテネの横顔像が打ち出されています。兜に巻かれたオリーヴの枝葉はアテネの富を象徴します。また、この兜はペルシア戦争に勝利したことを示すものという説もあります。

 裏面はアテナ神の象徴フクロウが表現されています。右側にはアテネを示す「ΑΘΕ」銘、左上にはオリーヴと三日月が刻まれています。この三日月(二十六夜月)は、BC480年の新月の前に勃発したサラミスの海戦において、ペルシア軍に勝利したことから採用されているとも云われます。


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                 アテネ市民を前に演説するペリクレス


 紀元前431年に勃発したペロポネソス戦争は、アテネの覇権に対する他の諸ポリス(都市国家)の反抗からはじまり、ギリシャの大半を巻き込んで約30年も続きました。当時のアテネを率いていた政治家ペリクレスは、アテネ市民を前に徹底抗戦を訴え、篭城戦を敢行します。しかし、スパルタ率いるペロポネソス同盟軍はアテネとの戦いを優位に進め、ペリクレス亡き後の紀元前404年にアテネを占領。エーゲ海を制覇したアテネの栄華は終焉を迎えました。

 ペロポネソス戦争の勃発は戦費支出を増大させ、フクロウコインも大量に生産され傭兵への給与支払いなどに充てられました。このコインも、そうした激動の時代に造り出された一枚です。2400年前の古代ギリシャ史を彩る、歴史的な遺産といえるコインです。


 

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