• ローマ帝国 アルカディウス帝/コンスタンティノポリス神
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 4世紀末の古代ローマ帝国で発行されていた「ソリダス金貨」は、後のビザンチン帝国にも引き継がれ、地中海交易の主要な決済手段として用いられました。非常に薄手ですが、金の純品位が高いことから広く信用され「中世のドル」とも呼ばれています。

 この金貨は薄手でありながらデザインは細かく、皇帝が持つ円盾には騎士の姿が刻まれているのがはっきりと分かります。日本では古墳時代にあたるこの当時、ヨーロッパには高度な文明が栄えていたことが分かります。

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 表面には、武装したアルカディウス帝(在位:AD395年~AD408年)の正面胸像が打ち出されています。コインの人物像は磨耗による損傷を防ぐ意味もあり、古代ギリシャ時代から横向きの像が主流でしたが、4世紀以降のソリダス金貨からは正面像が多用されています。その代わり、皇帝の肖像には個性や生気が乏しくなっています。これはキリストや聖母マリアの図像などと同じく、皇帝の像も一種の「聖像=マーク(印)」として見られるようになったからだと考えられています。

 アルカディウス帝は、統一ローマ最後の皇帝テオドシウス(在位:AD379年~AD395年)の息子であり、東ローマ帝国の初代皇帝として知られます。テオドシウス帝は崩御する前、長男アルカディウスに帝国の東半分、次男ホノリウスに西半分を分割しました。これによりローマ帝国は東西に分裂したのですが、この兄弟は共に政治的に無能であり、実際の政治はそれぞれの側近達が行ったとされています。

 世界史の重要な分岐点を、今の時代に伝える大切なローマコイン。古代から中世に移り変わる時代の、重要な記憶物でありコレクションです。


 

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