18世紀、フリードリヒ2世統治下のプロイセン王国で発行された1/3ターレル銀貨。同時代の銀貨にしては、比較的良好な状態で残されています。このタイプの1/3ターレル銀貨は一般市民が市中でよく使用したことから、いくつもの刻印が用いられて大量に生産されました。そのためフリードリヒ2世の肖像には様々なタイプがみられ、バラエティに富んでいます。当時のフリードリヒ2世は老齢に達していましたが、このコインでは若々しい青年貴族のような風貌で表現されています。太く逞しい首が特徴的な肖像です。
フリードリヒ2世(在位:1740年~1786年)は当時ドイツの新興国であったプロイセン王国を、ヨーロッパの有力国に発展させた名君です。同時代のオーストリアを統治した女帝マリア・テレジアと生涯にわたって対立し、周辺の大国を敵に回しながらも勝利した国王として
「大王」と呼ばれています。
『フルートを奏でるフリードリヒ大王』 オーストリア継承戦争や七年戦争を通じ、プロイセンの勢力を拡大させた大王は、他のヨーロッパの君主や文化人からも尊敬を集めていました。また文化や学問、芸術にも造詣が深く、哲学者ヴォルテールとは文通仲間でした。
大王自身はフルートの名手として知られ、宮廷に音楽家を集めて演奏会を催したり、自ら作曲も手掛けるなどの腕前を披露しました。
また国内産業の発展にも精力的に尽力し、寒冷地でも育つジャガイモの栽培を奨励し、ドイツの名物食材にしたのも大王の功績と云われます。「啓蒙専制君主」と評されたフリードリヒ大王は、ドイツ近代化を推進した偉人の一人として、今ではドイツのみならず世界中で根強い人気があります。